ニいう事も、三人に木精《メチール》をあてがって盲目《めくら》にし、それなりヴィデになり済ましたという事も、また、妻を奪った八住を殺したばかりでなく、娘の朝枝までも手にかけようとした事も――ハハハハ、あのまんまと仕組んだ屍体消失の仕掛《からくり》でさえ、僕の眼だけは、あざむくことができなかったのです。貴方が、髪を洗って、傷や腫物《はれもの》の跡を埋め、またしばらく、過マンガン酸加里で洗面さえしなければ、再び旧《もと》の美しい、アドリアチックの英雄に戻るでしょうからね」
「な、なにを云う……」
とヴィデはドギマギしながらも、嘲るように、
「僕がフォン・エッセンだとは――莫迦《ばか》らしい、いったいどこを押せばそんな音が出るのです。すると貴方は、八住を刺した兇器を、僕がどこへ隠したと云われますか」
「なにも、あの流動体には、隠す必要なんてないじゃありませんか。しばらく貴方は、それを傷口の中に、隠しておいたのでしょう。そして、後になって、朝枝と二人の盲人といっしょに再び艇内に入ると、そこで眼が見える貴方は、屍体を俯向《うつむ》けにしました。すると、あの流血と同時に、兇器はしだいに凝血の間を縫
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