スめきも、地上にありとあらゆるいっさいのものが、停止したように思われた。
しかし、二人の面前では、その朝何事も起らなかったかのように見えたが、なお念のために、家族の寝間を覗き歩くうち、ふと朝枝の室の扉《ドア》が、開かれているのに気がついた。
内部《なか》を覗くと、瞬間二人の心臓が凍りついてしまった。
そこの寝台《ベッド》の上には、蝋色をした朝枝の身体が、呼吸もなく、長々と横たわっていたからである。
三、海底の花園
しかし、朝枝はまもなく蘇生したが、それは酷たらしくも、頸《くび》を絞められて、窒息していたのである。
しかも、なお驚くべき事には、その扉《ドア》は、前夜の就寝の際に法水が鍵を下して、いまもその鍵は彼の手の中に固く握られているのであるが、それにもかかわらず、あの不思議な風は音もなく通り過ぎてしまった。
そうして、目されていたヴィデが襲われず、朝枝が犠牲になった事は、法水の観念に一つの転機をもたらした。
彼はウルリーケを招いて、さっそくに切り出したものがあった。
「またまた、菩提樹《リンデン》の葉と十字形《クロスレット》なんですが、僕は今になって、よ
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