サれはけっして、肉の眼では見えないのですが、僕は何処にあるか、ようく知っているのです。今日も事件の際に、そこから伝わってくる、気動があったのを覚えています。なにしろムーンの訓盲《くんもう》文字に、十七年間も馴らされているんですからね。とうの昔、失われた眼を、皮膚の上に取り戻していますよ」
と周囲《ぐるり》を嘲るように云い放ったとき、検事はその言葉の魅力に、思わずも引き入れられてしまった。
「というのは、いったい何処からなんです?」
「それが、貯蔵庫《ビム》の方角からでした」
としばらく指を左右に動かしていたが、ヴィデはやがてムッツリと答えた。
が、その貯蔵庫《ビム》というのは、事件のおり夫人がいた発射管室の壁際にあるもので、ヴィデはかくも傲然として、犯人にウルリーケを指摘したのであった。
一座はその瞬間、白けたような沈黙に落ちたが、やがて法水の問いに、石割苗太郎が答えはじめた。
「艇長の屍体を発見したのが、ちょうど夜半《よなか》の二時でしたが、それから四人は、艙蓋《ハッチ》の下で眠るともなく横になっておりました。すると、そのうちに、士官室から前部発射管室の方へ行く、異様な跫音《
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