Bあの葉の形と三角旗、縫った十字形と点のみで出来た十字――貴女は、よもやこの一致を偶然の暗合とは云いますまいね。またそうなって、真実その艇長が、フォン・エッセンだとしたら、自分が自分を指摘されたところで、なにもそう、暗い気分に打ち沈むことはなかろうと思われます。まさしくそれが、貴女の心の暗い秘密――不倫の恋が打ち出した怖るべき犯罪だったのです」
 と、先刻《さっき》検事が嘲ったバドミントン叢書の「操艇術《ヨッチング》」を取り出してきたとき、その驚くべきほど劇的な一致が、今や動かしがたい事実となって現われた。
 そして、初めて検事に、|隠れ衣《タルンカッペ》を被せられたジーグフリード――の意味が明らかになったけれども、彼は眼前のウルリーケが、一枚ずつ衣を脱がされてゆくように感じた。
 彼女のスカートには、まだ男喰いの獣性が、垢臭く匂っているかに思われたが、それはとうに外されていて、今ではコルセットも下衣《したぎ》もなく、こうして彼女は、男の前で真裸にされたのである。
 続いて法水は、屠殺される、獣のように打ち挫《ひし》がれているウルリーケを見やりながら、鮮かに、トリエステと今日の事件との
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