轤ヒばならない。そして、疾風のような気流が、畳扉の隙から、紡車に吹きつけるからだ」
そう云って、法水は隣室におもむいたが、やがて戻って来たとき、手に台紙の燃え屑が握られていた。
しかし、彼は鋭鋒を休めず、さらにウルリーケに向って続けた。
「もちろんそれだけでは、シュテッヘと貴女との関係が、完璧に証明されたとは云われません。しかし、『|鷹の城《ハビヒツブルグ》』がトリエステを去った日の朝、貴女が、『ニーベルンゲン譚詩《リード》』に側線《アンダーライン》を引いて、Leaf《リーフ》(葉)と Crosslet《クロスレット》(十字形)という二つの文字を示されたでしょう。そのとき艇長は、なぜ暗い気持に襲われたのでしょうか。貴女が、かたわらの眼を怖れて秘かに指摘した、ジーグフリードの弱点というのは、そもそもいったい何事だったのでしょうか――下には舌のような葉なりの形で、ただ一つの致命点があり、その上の衣の上に、縫った十字形が重なっていると云えば。ところが夫人《おくさん》、貴女はそれによって艇長が属していた快走艇《ヨット》倶楽部《くらぶ》――王立カリンティアン倶楽部の三角旗を指摘したのでしたね
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