ヘ、この比喩の意味がお判りですか」
それは、妖術というようなものが実現されたとき、かくあらんと思われるような瞬間だった。検事もウルリーケも、同様化石したようになってしまって、よしや彼ら二人に、なお生命があったにしろ、眼はもう見えず、耳がはや聴えなくなったことは、確かであろう。
やがて、ウルリーケの唇から、濡れた紙巻がポタリと落ちたが、依然その姿勢は変らなかった。
法水は闇の海上を、怖ろしげに見やりながら、言葉を次いだ。
「つまり、ヴェネチア湾の海底で、生きながら消え失せたのは、シュテッヘではなく、フォン・エッセンだったのですよ。もっと明瞭《はっき》り云えば、シュテッヘをかくまった、UR《ウー・エル》―4号に、乗り込んだのを最後に、艇長の地上の生活は失われたことになりましょう。なぜなら、そのおりシュテッヘのために、艇長は生とも死ともつかぬ不思議な抹殺をされて、シュテッヘはその場から、フォン・エッセンになりすましました。ですから、その後貴女の閨《ねや》を訪れた人も、コマンドルスキーの海底でこの世を去った艇長も、同様シュテッヘでありまして、しかもなお奇異《ふしぎ》な事には、艇長はそのま
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