サういった迷信的な解釈をいまだ棄てずにおります。いつまでもテオバルトのことを、『さまよえる和蘭《オランダ》人』のように考えていて、シュテッヘという悪魔を冒涜したために、七つの海を漂浪《さまよ》わねばならなくなったと信じているのです。でもまあ、あのまたとない友情の間に、どうしてそんなことが……いいえ判りましたわ。――貴方もやはり、シュテッヘの失踪について、テオバルトを疑っていらっしゃるのです。ようございますわ。もし、飽くまでもそういう夢をお捨てにならないのでしたら、一つ防堤に来る男というのを、シュテッヘに証明していただきましょうか」
「ところが夫人《おくさん》」
 と突然、法水に凄愴な気力が漲《みなぎ》って、
「ところがその、和蘭人を呪縛にくくりつけた悪魔――それは、とおの昔に死にました。いや、率直に云いましょう。『|鷹の城《ハビヒツブルグ》』遭難の夜艇内で死んだのは、実を云うと艇長ではなく、その悪魔だったのです。そして、一方の和蘭人は、とうの昔トリエステで消え失せていて、それからも『|鷹の城《ハビヒツブルグ》』を離れず、不思議な生存を続けておりました。どうでしょう夫人《おくさん》、貴女
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