タに着くと、それを待ち兼ねたように切りだした。
「また、朝枝が何か喋《しゃべ》っていたようでしたわね。私、あの子が先刻《さっき》のアマリリスといい、なぜ肉親の母親を、そんなにまで憎しみたいのか理由が判りませんの。ですけど、八住が夜な夜な、きまって暁け方になると、『|鷹の城《ハビヒツブルグ》』のある岬の角に、行くことだけは事実でございます。どうして、不自由な身体を押してまでも、八住はそうしなくてはならなかったのでしょうか。そこへ貴方は、毎夜防堤に来る男がある――とおっしゃいます。あああの夢が、だんだんと濃くなるではございませんか」
「なるほど――しかし、他人の夢にはおかまいなさらず、御自分の悪夢の方を、おっしゃって下さい。時偶《ときたま》は、トリエステの血のような夢を御覧になるでしょうな」
 と法水は、異様なものを仄《ほの》めかしたけれど、ウルリーケの顔は咄嗟《とっさ》に硬くなり、雲のような暈《ぼう》としたものが舞い下りてきた。
「悪夢……。すると貴方は、シュテッヘのことをおっしゃるんですのね。なるほど、あの方が失踪したおりには、テオバルトも一応は疑われました。現に維納《ウイン》の人は、
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