bと夢から醒めたようになって、それまで、法水の夢想に追従しきっていた、おのれの愚かさを悟ったのである。
 法水も、その刺戟を隠し了せることはできなかったが、彼は、検事の言葉がなかったもののように、そのまま旧《もと》の語尾を繰り返した。
「ところが、その心理を前提として……、艇長とジーグフリード、ウルリーケとクリームヒルト――という符合に憑《とっ》つかれることだ。肝腎なニーベルンゲンの神秘|隠れ衣《タルンカッペ》が、そうした心理的な壁に、隔てられてしまうのだ。ねえ支倉君、『ニーベルンゲン譚詩《リード》』のこの事件における意義は、けっして後半の匈牙利《ハンガリー》王宮にはない、むしろ前半の、しかも氷島《イスランド》の中にあるんだ。つまり、ジーグフリードが姿を消すに用いる、魔法の|隠れ衣《タルンカッペ》がいつどこで使われたか……。また、その氷島《イスランド》というのが、この事件ではどこに当るか――だ。繰り返して云うがね、ウルリーケは絶対にクリームヒルトではなく、氷島《イスランド》の女王ブルンヒルトなんだ。しかも、この事件のブルンヒルトは、魔女のように悪狡《わるがし》こく、邪悪なスペードの女王
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