ォ出された舌を見たのでした。
 そうして、全身の診察が終ると、再び叔父のフォン・ビューローの許に連れ戻されましたが、その時不用意にも、私は患者の姓名を訊ねてしまったのです。
 すると叔父は、卓子《テーブル》をガンと叩いて、「お前は、あの扉《ドア》の合鍵でも欲しいのか」と呶鳴《どな》りましたが、まもなく顔色を柔らげて、「ではパット、あの馬鹿者《イディオット》については、これだけのことを云っておこう。さる侯爵《マルキス》だ――とね」と言葉少なに云うのでした。
 しかし、お訊ねにかかわる羅針盤の文身《いれずみ》は、隈《くま》なく捜したのでしたが、ついに発見することなく終ってしまいました。
 そこで私は、明白な結論を述べることができます――あの囚人は、たとえいかなる浮説に包まれていようと、絶対に、友、フォン・エッセン男爵ではない――と。

 その書信は、ウルリーケの知人である、英人医師のバーシー・クライドから送られたものだが、かえって内容よりも、それがいかなる径路を経て、法水の手に入ったものか、検事は不審を覚えずにはいられなかった。
 法水は、続いてウルリーケに向い、それを掘り出した、不思議な神経を明らかにした。
「実を云いますと、これを手に入れたのは、夢判断のおかげなのです。いつぞや『ニーベルンゲン譚詩《リード》』の中に、貴女は御自分の夢をお書きになりました。ところが、その夢の世界には、すでに無意識となった、一つの忌怖感が描かれているのです。
 で、夢の象徴化変形化のことは御承知でしょうが、また、一つの言語一つの思想が、まるで洒落《しゃれ》のような形で現われることもあるのです。
 そこで、菩提樹《リンデン》の葉がチューリップの上に落ちる――という一句を、僕は、チューリップすなわち Two Lips《テウ・リップ》(二つの唇)と解釈しました。つまり、何かの唇の中に、貴女は葉のように薄いものを差し込んで置いたからでしょう。それから、撫子《カーネーション》の垂れ下がるほど巨《おお》いなる瓣《はなびら》――というところは、第一、撫子《カーネーション》には肉化《インカーネーション》の意味もあり、また、巨きな瓣を取り去ろうとするがなし得ない――というところは、その肉化した瓣が、膨れるのを懼《おそ》れていたからなんです。
 そこで、唇に何かを挟んで、それが膨れるのに懸念を感じるようなも
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