フ顔を瞶《みつ》めていた。が、やがて軽い吐息をついて、「なるほど……。しかし、ファウスト博士の本体は、武具室のクリヴォフ以外にはないはずだぜ。もし、それを証明出来ないのだったら、いっそのこと、君の嬉劇《シュポルト》的な散策は、やめにしてくれ給え」
 それを聴くと、法水は押収してきた火術弩《かじゅつど》を取り上げて、その本弭《もとはじ》([#ここから割り注]弓の末端[#ここで割り注終わり])の部分を強く卓上に叩き付けた。すると意外にも、その弦《つる》の中から、白い粉末がこぼれ出たのであった。法水は、唖然となった二人を尻眼に語りはじめた。
「やはり、犯人は僕等を欺かなかったのだ。この燃えたラミイの粉末が、とりもなおさず、あの、|火精よ燃えたけれ《ザラマンダー・ゾル・グルーエン》――なんだよ。ラミイ――それをトリウムとセリウムの溶液に浸せば、燈火|瓦斯《ガス》のマントル材料になるし、その繊維は強靱《きょうじん》な代りに、些細《ささい》な熱にも変化しやすいのだ。実は、その繊維の撚《よ》ったものを、二本|甘瓢《かんぴょう》形※[#「∪/∩」(fig1317_48.png)」、382−5]に組んで
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