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 それは、擬《まご》うかたないセレナ夫人の声であった。しかし、耳に入ると、レヴェズは喪心したように、長椅子へ倒れかかったが、彼はかろうじて踏み止まった。そして頭をグイと反らして、激しい呼吸をしながら、
「貴方《あんた》は、何かの機会《チャンス》に、一人の犠牲を条件に、彼女を了解させたのですか。もう儂《わし》には、この上釈明する気力もないのです。いっそ、護衛をやめてもらおう。|儂の血でこの裁きをしたら、いつか、その舌の根から聴くことがあるでしょうから《マイ・ブラッド・ジャッジ・ファベイド・マイ・タング・トゥ・スピーク》」と異常な決意を泛《うか》べて、あろうことか、護衛を断るのだった。そして、いっさいの武装を解いた裸身を、ファウスト博士の前に曝《さら》させることを要求した。それに、法水はまた皮肉にも、応諾の旨を回答して、室《へや》を出た。いつも、彼等がそこで策を練り、また訊問室に当てているダンネベルグの室では、検事と熊城がすでに夜食を終っていた。その卓上には、裏庭の靴跡を造型した二つの石膏型と、一足の套靴《オーバシューズ》が、置かれてあった。そして、それがレヴェズの所
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