キが緩んでいて、目的を果せず、やむなく剣をもって刺殺したのだった。
[#ここで字下げ終わり]

「しかし、あの虹の告げ口だけは、どうすることも出来ません」と法水はさらに急追を休めず、凄気《せいき》を双眼に泛《うか》べて云い放った。「しかし、貴方がオドワカル殺しの故智を学ばれたのは、さすがだったと思います、御承知でしょうが、テオドリッヒの用いた弓の弦と云うのは、※[#「亠/中/冖/石/木」、第3水準1−86−13]※[#「くさかんむり/夷」、第3水準1−90−83]木《ビクスクラエ》の繊維で編んだ、ハイデクルッグ王([#ここから割り注]北独逸ゲルマン族の一族長[#ここで割り注終わり])からの、虜獲《りょかく》品だったのですからね。ところが、その※[#「亠/中/冖/石/木」、第3水準1−86−13]※[#「くさかんむり/夷」、第3水準1−90−83]木《ビクスクラエ》という植物繊維には、温度によって組織が伸縮するという特性があるのです。したがって、寒冷の北|独逸《ドイツ》から温暖の中部|伊太利《イタリー》に来たために、さしも北方蛮族の殺人具も、たちまちその怖るべき性能を失ってしまったのでし
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