ッとなるでしょう。また、虹を送って、儂の心を伸子に知ってもらおうとしました。だが、とうていそれだけでは、儂とメフィストとの契約《パクト》が……。いや、恐らくいまに儂は、貴方の衒学《ペダントリー》さに嘔吐《へど》を吐きかけるに至るでしょう」
「勿論ですレヴェズさん、しかし貴方の詩作が、混沌の中から僕に光を与えてくれました。実は、この事件の終局《フィナーレ》と云うのが、あの虹に現われている、ファウスト博士の総懺悔《ゲネラル・バイヒテ》にあったのです。いや、率直に云いましょう。勿論あの七色は、詩でも観想でもなく、実は、兇悪無残な焼刃の輝きだったのです。ねえレヴェズさん、貴方は、クリヴォフ夫人を、あの虹の濛気によって狙撃したのでしたね」と法水は突如凄じい形相になって、狂ったような言葉を吐いた。その瞬間、レヴェズは化石したように硬くなってしまった。突然頭上に閃《ひらめ》き落ちてきたものは、恐らくレヴェズにとって、それまで想像もつかぬほど意外なものであったに相違ない。眩惑《げんわく》、驚愕《きょうがく》――勿論その一|刹那《せつな》に、レヴェズが知性のすべてを失ってしまったことは云うまでもないので
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