sドライファハ・アウスゲデーンテン・グレーセン》から救っているじゃありませんか。いや、僕は率直に云いましょう。その時寝室から出た貴方は、物音を聴いて伸子の側に行き、落ちていた『|予言の薫烟《ヴァイスザーゲント・ラウフ》』を旧《もと》の位置に押し込んでやりました。そして、室から去ってゆくところをダンネベルグ夫人に認められたので、それが、算哲の死後秘密の関係にあった夫人を激怒させたのでした。しかし、一方持分相続に関する禁制があるので、さすがに夫人も、それを明らさまにはいい得なかったのですよ」
 その間レヴェズは、拳《こぶし》に組んだ両手を膝の上に置いたままで、凝然《じっ》と聴き入っていた。が、相手の言葉が終ってからも、その静観的な表情は変らなかった。彼は冷たく云い放った。
「なるほど、動機はそれで十分。しかし、この際なにより貴方に必要なのは、僅《た》った一つでも、完全な刑法的意義です。つまり、今度は犯罪現象に、貴方の闡明《せんめい》を要求したいのですよ。法水さん、あの鎖の輪のどこに儂《わし》の顔を証明出来ますかな。いかにも儂には、あの『|予言の薫烟《ヴァイスザーゲント・ラウフ》』が永世の記
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