モる》え鳴ったのだろう――。最初は、重い人形が隣室の壁際を歩んだ。そして、次は今の熊城君だ。つまり、|大階段の裏《ビハインド・ステイアス》――の解答と云うのは、この隣室との境にある壁のことなんだよ」
 しかし、その壁面にはどこを探っても、隠し扉が設けてあるような手掛りはなかった。そこでやむなく、その一部を破壊することになった。熊城は最初音響を確かめてから、それらしい部分に手斧《ておの》を振って、羽目《パネル》に叩きつけると、はたしてそこからは、無数の絃が鳴り騒ぐような音が起った。そして、木片が砕け飛び、その一枚を手斧とともに引くと、羽目《パネル》の蔭からは冷えびえとした空気が流れ出てくる――そこは、二つの壁面に挾まれた空洞だった。その瞬間、悪鬼の秘密な通路が闇の中から掴み取られそうな気がして、三人の唾《つば》を嚥《の》む音が合したように聴えた。打ち下す音とともに、梯状琴《クラヴィ・チェンバロ》の絃の音が、狂った鳥のような凄惨な響を交える。それは、周囲の羽目《パネル》を、熊城が破壊しはじめたからだった。ところが、やがてその一劃から埃まみれになって抜け出してくると、彼は激しい呼吸の中途で大
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