ュ》されて、それが心臓への注血を激減させたに相違ない。しかし、その鬱血腫脹している脈管は、屍体の位置が異なったりするたびに、血胸血液が流動するので、それがため、一種物理的な影響をうけたのであろう。つまり、その作用と云うのは、往々に屍体の心臓を蘇生させることのある、ある種の摩擦《マッサージ》に類したものだったと思われる。何故なら、元来心臓と云うものは理学的臓器であり、また、ブラウンセカール教授の言のごとく、恐らく絶命している間でも、聴診や触診ではとうてい聴き取ることの出来ぬ、細微《かすか》な鼓動が続いていたに相違ないのだから([#ここから割り注]巴里大学教授ブラウンセカールと講師シオは、人体の心臓を聞いてそれがなお鼓動を続けていたという数十例を報告している。すなわち、心臓がなお充分な力を持っていることを証明するのであって、換言すれば、それは心動の完全な停止を証明しないのである。勿論その鼓動は、外部では聴えない[#ここで割り注終わり])――とメーキンスはこういう推断を下しているのです。そうなると久我さん、僕はこの疑心暗鬼を、いったいどうすればいいのでしょうか」
 と法水は、算哲の心臓の位置
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