ェ異なっていることから、死者の再生などと云うよりも、もっともっと科学的論拠の確かな、一つの懸念を濃厚にするのだった。が、その時、心中で凄愴《せいそう》な黙闘を続けていた鎮子に、突如必死の気配が閃《ひらめ》いた。あくまで真実に対して良心的な彼女は、恐怖も不安も何もかも押し切ってしまったのだった。
「ああ、何もかも申し上げましょう。いかにも算哲様は、右に心臓を持った特異体質者でございました。ですけれど、何より私には、算哲様が自殺なされるのに、右肺を突いたという意志が疑わしく思われるのです。それで、試しに私は、屍体の皮下にアムモニア注射をいたしたのでございました。ところが、それには明瞭《はっきり》と、生体特有の赤色が泛《うか》んでくるではありませんか。それに、なんという怖ろしい事でしたろう。あの糸が、埋葬した翌朝には切れていたのでございましたわ。ですけど、私にはとうてい、算哲様の墓※[#「穴かんむり/石」、319−1]《ぼこう》を訪れる勇気はございませんでした」
「その糸と云うのは」検事が鋭く問い返した。
「それは、こうなのでございます」鎮子は言下に云い続けた。「実を申しますと、算哲様はひど
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