エじたのです。何故かと云うと、ちょうどそれと寸分|違《たが》わぬ言葉を、僕は伸子さんの口からも聴いたからでした。恐らく、その暗合には、この事件最後の切札とする価値があるでしょう。これまで僕等が辿《たど》っていった、推理測定の正統を、根柢から覆《くつがえ》してしまうほどの怪物かもしれないのですよ。ことに、貴女の場合は、それに黙劇《パントマイム》じみた心理作用が伴ったので、それに力を得て、なおいっそう深く、貴女の心像を抉《えぐ》り抜くことが出来たのでした。ところで、維納《ウインナ》新心理派に云わせると、それを徴候発作《ジムプトム・ハンドルンゲン》と云うのですが、目的のない無意識運動を続けている間は、最も意識下のものが現われ易い――言《ことば》を換えて云えば、人に知らせたくない、自分の心の奥底に蔵《しま》っておきたいものが、何かの形で外面の表出の中に現われるか、それとも、そこに何か暗示的な衝動を与えられると、それに伴った聯想的な反応が、往々言語の中にも現われることがあると云うのです。その暗示的衝動と云うのはほかでもない、算哲のことを、僕がスペードの王様《キング》と云ったことなんですよ。しかし
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