ゥら、その壁面にかけて指で直線を引いた。
「法水君、高さはちょうど頃合だがね。しかし、鎧扉までの角度が、てんで二十五度以上も喰い違っている。もし、何かの原因で自然発射がされたとすれば、壁面と平行に、隅の騎馬装甲へ打衝《ぶつか》らなきゃならんよ。きっと犯人は、踞《しゃが》んでこの弩を引いたに違いないんだ」
「だが、犯人は標的を射損じたのだ。それが僕には、何より不思議に思われるんだがね」と、爪を噛みながら法水は浮かぬ顔で呟《つぶや》いた。「第一、距離が近い。それに、この弩には標尺がある。その時クリヴォフは、背後を向けて椅子から首だけを出していたのだ。その後頭部を狙うのは、恐らくテルが、虫針で林檎を刺すより容易《たやす》いだろうと思うが」
「では法水君、君はいったい何を考えているんだね」とそれまで何ものか期待していた検事は、周囲の積石を調べ歩いて、漆喰《しっくい》にそれらしい破れ目でも見出そうとしていた。が、空しく戻って来ると、法水に鋭く訊ねた。すると、法水は突然《いきなり》窓際へ歩み寄って行き、そこから窓越しに、前方の噴泉を指差して云った。
「ところで、問題と云うのが、あの驚駭噴泉《ウォー
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