黷ヌも、なにより僕等が欲しいのは、たった一つでも、完全な刑法的意義なんだよ。つまり、天狼星《シリウス》の最大視差《マキシマム・パララックス》よりも、それを構成している物質の内容なんだ。云い換えれば、それぞれの犯罪現象に、君の闡明《せんめい》を要求したいのだよ」
[#十二宮の円華窓の図(fig1317_29.png)入る]
「それでは」法水は満足そうに頷《うなず》いて、事務机の抽斗《ひきだし》から一葉の写真を取り出した。「いよいよ最後の切札を出すことにするかな。ところでこの写真は、鐘鳴器《カリリヨン》室の頭上に開いている十二宮の円華窓《えんげまど》なんだが、僕は一瞥《いちべつ》すると同時に、気がついた。これもまた、棺龕《カタファルコ》十字架と同様、設計者クロード・ディグスビイが残した秘密記法《クリプトグラフィー》だ――と。何故なら、通例では、春分点のある白羊宮《アリエス》が円の中心になっているのだけれども、これには磨羯宮《カプリコルヌス》が代っている。また、縦横に馳《は》せ違っているジグザグの空隙にも、鐘鳴器《カリルロン》の残響を緩和するという性能以外に、なんらかの意味がなくてはならぬと
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