Kイスト》([#ここから割り注]すなわち、ウンディネ・ジルフェ・サラマンダー・コボルトを眷族とする大自然の精霊[#ここで割り注終わり])が、壮大な哲学的な姿を出現させているのみであった。しかし、この五芒星呪文に関する法水の解説は、むしろ講演《レクチュア》に等しかった。それなので、ジリジリ緊迫の度を高めていた空気がしだいに緩んでいって、背中に陽をうけている二人の間には、ぽかぽかした雲のような眠気が流れはじめた。検事は皮肉な嘆息をして云った。
「とにかく、この一事だけは断っておこうよ――この席上が弾薬塔《プルヴェル・トゥルム》だということをね。とにかくそういう話は、いずれ薔薇園《ローゼン・ガルテン》でやってもらうことにしようじゃないか」
ところが、次の瞬間法水の顔にサッと光耀が閃《ひらめ》いていて、突如鉄鞭のように、凄じい唸《うな》りが惰気を一掃したのである。彼は、甘そうに莨《たばこ》を二、三度吸うと云った。
「冗談じゃないぜ、こんなに素晴らしい|魔王の衣裳《エルケーニッヒ・コスチュウム》が、弾薬塔《プルヴェル・トゥルム》や砲壁《バルバカン》の中にあってたまるもんか。支倉君、僕の魔法史的
前へ
次へ
全700ページ中346ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小栗 虫太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング