Aスヴァニの絞刑死体([#ここから割り注]十五分間廻転するがままに放置したる後引き下してみると、その後二十分も脈動と高熱が続いたと云う一八一五年ビルバウアー教授の発表[#ここで割り注終わり])が挙げられているように、窒息死後、廻転するかして死体に運動が続けられる場合は[#「廻転するかして死体に運動が続けられる場合は」に傍点]、高熱を発し脈動を起す例が必ずしも皆無ではないのである。まさしく易介においても、絶命後具足の廻転が[#「絶命後具足の廻転が」に傍点]、死体発見の一因として証明されているではないか[#「死体発見の一因として証明されているではないか」に傍点]。よって、上述したところを綜合すれば、易介の死は依然午後一時前後であって、彼がいかにして甲冑を着したかという点にも、北条流吊具足早着之法などの陣中心得は、無論この場合問題ではない。とうてい他人の力を藉《か》りなければ、非力病弱の易介にはなし得ないと推断されるのである。しかし、今回の発表が、ただ単に死因の推定にのみ止まっていて、なんら事件の開展に資するところのないのは、捜査関係者として心から遺憾の意を表したいと思う。
法水の朗読が終
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