ツも消えたので、階段廊に残っている光と云えば、左手のジェラール・ダヴィッド作「シサムネス皮剥死刑之図」の横から発して、「腑分図《ふわけのず》」を水平に撫でている一つのみになってしまった。が、その一燈に当る開閉器《スイッチ》は、階段の下にあるのだった。すると、それまで現われていた渋い定着が失われて、「腑分図」の全面には、眼の眩《くら》むような激しい眩耀《ハレーション》が現われた。さらに、最後の一つが捻《ひね》られて頭上の灯が消えると、法水はポンと手を叩いて、
「これでいいのだ。やはり、僕の推測どおりだったよ」
ところが、それからしばらくの間、前方の画中を血眼《ちまなこ》になって探し求めていたけれども、三人の眼には、眩耀《ハレーション》以外の何ものも映らなかった。
「いったいどこに何があるんだ」と床を蹴って、熊城は荒々しく怫然《ふつぜん》と叫んだ。が、その時なにげなしに、真斎が後方の鋼鉄扉を振り向くと、そこには熊城の肩を、思わずも掴ませたものがあった。
「アッ、テレーズだ!」
それは、まさしく魔法ではあるまいかと疑われたほど、不可思議奇態をきわめた現象であった。前方の画面が眩《まば》ゆ
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