目は?」
 そう云って法水は、しばらく相手を正視していたが、真斎の顔は、しだいに朦朧《もうろう》とした絶望の色に包まれていった。法水は続けて、
「それから僕は、その『ゴンザーゴ殺し』の|三たび《スライス》を再び俎上《そじょう》に載せて、今度は反対に、下降して行く曲線として観察したのです。そして、いよいよその一語に、供述の心理を徹頭徹尾支配している、恐ろしい力があるのを確かめることが出来ました。そのために、ポープの『|髪盗み《レープ・オヴ・ゼ・ロック》』の中で一番道化ている、|異常に空想が働き、男自ら妊れるものと信ずるならん《メン・プルーヴ・ウイズ・チャイルド・アズ・パワーフル・ファンシイ・ウォークス》――を引き出して、毫《ごう》も心中策謀のないのを、貴方に仄《ほの》めかしたのです。ところが、その次句の、|処女は壺になったと思い《エンド・メイド・ターント・ボトルス》、|三たび声を上げて栓を探す《コール・アラウド・フォア・コークス・スライス》――で答えた貴方は、その中に thrice《スライス》 という字があるのをほとんど意識しないかのように、平然としかも、きわめて本格的な朗誦法で口にして
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