と同じ効果があるのを知っているかね。また、痳痺[#「痳痺」はママ]した部分の中央に、知覚のある場所が残ると、そこに劇烈な擽痒《かゆみ》が発生するのも、たぶんアルルッツの著述などで承知のことと思うよ。ところが君は、伸子の頸椎に打撲したような形跡はないと云う。けれども乙骨君、ここに僅《た》った一つ、失神した人間に反応運動を起させる手段がある。生理上けっして固く握れる道理のない手指の運動を、不思議な刺戟で喚起する方法があるのだ。そうしてそれが、[#ここから横組み]ジーグフリード+木の葉[#ここで横組み終わり]――の公式で表わされるのだがね」
「なるほど」と熊城は皮肉に頷《うなず》いて、「たぶんその木の葉と云うのが、ドン・キホーテなんだろうよ」
法水はいったんかすかに嘆息したが、なおも気魄を凝《こ》らして、神業《かみわざ》のような伸子の失神に絶望的な抵抗を試みた。
「マア聴き給え。恐ろしく悪魔的なユーモアなんだから。エーテルを噴霧状にして皮膚に吹きつけると、その部分の感覚が滲透的に脱失してしまう。それを失神した人間の全身にわたって行うのだが、手の運動を司る第七第八|頸椎《けいつい》に当る部分
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