うな光だったと云うほかにございません。それから、その姿が扉《ドア》の向うに消えると、把手《ノッブ》がスウッと動いて、跫音《あしおと》が微かに左手の方へ遠ざかって行きました。それで、ようやく人心地がつきましたけども、いつの間にか髪が解かれたと見えて、私は始めて首を自由にすることが出来たのです。時刻はちょうど十二時半でございましたが、それからもう一度鍵を掛け直して、把手《ノッブ》を衣裳戸棚に結び付けました。けれども、そうなると、もう一睡どころではございませんでした。ところが、朝になって調べても、室内にはこれぞという異状らしい所がないのです。して見ると、てっきりあの人形使いに違いございませんわ。あの狡猾《こうかつ》な臆病者は、眼を醒ました私には、指一本さえ触れることが出来なかったのです」
 結論として大きな疑問を一つ残したけれども、クリヴォフ夫人の口誦《くちずさ》むような静かな声は、側《かたわら》の二人に悪夢のようなものを掴ませてしまった。セレナ夫人もレヴェズ氏も両手を神経的に絡ませて、言葉を発する気力さえ失せたらしい。法水は眠りから醒めたような形で、慌《あわ》てて莨《たばこ》の灰を落したが
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