人形があるのです。だいたいプラーグの万国操人形聯盟《インターナショナル・リーダ・オヴ・マリオネット》にだって、最近『ファウスト』が演ぜられたという記録はないでしょうからな」
「ファウスト※[#感嘆符疑問符、1−8−78] ああ、あのグレーテさんが断末魔に書かれたと云う紙片の文字のことですか」レヴェズ氏は力を籠《こ》めて、乗り出した。
「そうです。最初の幕に水精《ウンディネ》、二幕目が風精《ジルフェ》でした。いまもあの可憐な|空気の精《ジルフェ》が、驚くべき奇蹟を演じて遁《のが》れ去ってしまったところなんですよ。それにレヴェズさん、犯人は Sylphus《ジルフス》 と男性に変えているのですが、貴方は、その風精《ジルフス》が誰であるか御存じありませんか」
「なに、儂《わし》が知らんかって※[#感嘆符疑問符、1−8−78] いや、お互いに洒落《しゃれ》は止めにしましょう」レヴェズ氏は反撃を喰ったように狼狽《うろた》えたが、その時、不遜をきわめていたクリヴォフ夫人の態度に、突如《いきなり》竦《すく》んだような影が差した。そして、たぶん衝動的に起ったらしい、どこか彼女のものでないような声が発せ
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