ったのですよ」に傍点]。ハハハハハ」と法水は爆笑を上げながら、レヴェズ氏を顧《かえり》みて、
「ところでレヴェズさん、勿論それまでには、|その悲しめる旅人は伴侶を見出せり《アイン・トリュベル・ワンドラー・フィンデット・ヒエル・ゲノッセン》――なんでしたからな」
「そ、それを御承知のくせに」とクリヴォフ夫人はたまらなくなったように立ち上り、杖《ケーン》を荒々しく振って叫んだ。「だからこそ私達は、その伴侶を焼き捨てて欲しいと御願いするのです」
ところが、法水はさも不同意を仄《ほの》めかすように、莨《たばこ》の紅い尖端を瞶《みつ》めていて答えなかった。が、側にいる検事と熊城には、いつ上昇がやむか涯しのない法水の思念が、ここでようやく頂点に達したかの感を与えた。けれども、法水の努力は、いっかな止もうとはせず、この精神劇《ゼーレン・ドラマ》において、あくまでも悲劇的開展を求めようとした。彼は沈黙を破って、挑《いど》むような鋭い語気で云った。
「ですがクリヴォフ夫人、僕はこの気狂い芝居が、とうてい人形の焼却だけで終ろうとは思えんのですよ。実を云うと、もっと陰険朦朧とした手段で、別に踊らされている
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