ショップ》の夕餐に与《あずか》るためには、罪人が一人|絞《くび》り殺される――って。だいたい、父という人物が、そういった僧正《ビショップ》みたいな男なんです。魂の底までも、秘密と画策に包まれているんですから、たまりませんよ」
「ところが旗太郎さん、そこに、この館の病弊があるのですよ。いずれ除かれることでしょうが、だが貴方にしたところで、なにも博士の精神解剖図を、持っているという訳じゃありますまい」と相手の妄信を窘《たしな》めるように云ってから、法水は再び事務的な質問を放った。
「ところで、入籍の事を、博士から聴かれたのは何日頃です?」
「それが、自殺する二週間ほど前でした。その時遺言状が作成されて、僕は、自分自身に関する部分だけを父から読み聴かされたのです」と云いかけたが、旗太郎は急に落着かない態度になって、「ですけれど法水さん、僕には、その部分をお聴かせする自由がないのですよ。口に出したら最後[#「口に出したら最後」に傍点]、それは持分の喪失を意味するのですからね[#「それは持分の喪失を意味するのですからね」に傍点]。それに、他の四人も同様で、やはり自分自身に関する事実よりほかに知ら
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