糸杉と無花果《いちじく》とが、土星と木星の所管とされているし、向う側の中央にある合歓樹《ねむのき》は、火星の表徴《シムボル》になっているのだ。またそれを、曼陀羅華《マンドラゴーラ》・矢車草《オーレゴニア》・苦艾《アブサント》と、草木類でも表わすことが出来るけれども……いったいその三外惑星の集合に、どういう意味があるかと云うと、モールレンヴァイデなどの黒呪術的占星学《ブラックマジカル・アストロロジイ》では、それが変死の表徴《シムボル》になっているのだ。ところで君達は、十一世紀|独逸《ドイツ》のニックス教([#ここから割り注]ムンメル湖の水精でニクジーと云う、基督教徒を非常に忌み嫌う妖精を礼拝する悪魔教[#ここで割り注終わり])を知っているかね。あの悪魔教団に属していた毒薬業者の一団は、その三惑星の集合を、纈草《かのこそう》・毒人蔘《ヘムロック》・蜀羊泉《ズルカマラ》の三草で現わしていて、その三つを軒辺《のきべ》に吊し、秘かに毒薬の所在を暗示していたと伝えられている。それが、後世になって三樹の葉に代えられたと云うのだが、さてそこで、その三本の樹を連ねた、三角形と交わるものが何だろうか?」
前へ
次へ
全700ページ中231ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小栗 虫太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング