を起す場合がある。それから、抱水クロラールになると、他の薬物ではとうてい睡れないような異常亢進の場合でも、またたく間に昏睡させることが出来るのだよ。だから、新しい犠牲者に必要どころの話じゃない。全然、犯人の嘲笑癖が生んだ産物にすぎないのだ。つまり、この三つのものには、僕等の困憊《こんぱい》状態が諷刺されているのだよ」
 眼に見えない幽鬼は、この室《へや》にも這い込んでいて、例により黄色い舌を出し横手を指して、嗤《わら》っているのだった。しかし、調査はそのまま続けられたが、結局収穫は次の二つにすぎなかった。その一つは、密陀僧《みつだそう》([#ここから割り注]即ち酸化鉛[#ここで割り注終わり])の大壜に開栓した形跡があるのと、もう一つは、再度死者の秘密が現われた事だった。と云うのは、危く看過《みすご》そうとするところだったが、奥まった空瓶の横腹に、算哲博士の筆蹟で次の一文が認《したた》められている事だった。

[#天から1字下げ]ディグスビイ所在を仄めかすも、遂に指示する事なくこの世を去れり[#「ディグスビイ所在を仄めかすも、遂に指示する事なくこの世を去れり」は太字]――

 要するに、
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