遺伝《メンタル・エンド・モラル・ヒディリティ・イン・ロヤリティ》」をも借用したい旨を述べて、図書室を出た。そして、鍵が手に入ったのを機《しお》に、続いて薬物室を調べることになった。
 次の薬物室は階上の裏庭側にあって、かつては算哲の実験室に当てられるはずだった、空室《くうしつ》を間に挾み、右手に、神意審問会が行われた室《へや》と続いていた。しかし、そこには薬室特有の浸透的な異臭が漂っているのみで、そこの床には、証明しようのないスリッパの跡が縦横に印され、それ以外には、袖摺れ一つ残されていなかった。したがって、彼等に残された仕事というのは、十にあまる薬品棚の列と薬|筐《ばこ》とを調べて、薬瓶《くすりびん》の動かされた跡と、内部の減量を見究めるにすぎなかった。けれども、一方五分あまりも積み重なっている埃の層が、かえって、その調査を容易に進行させてくれた。最初眼に止ったのは、壜栓《びんせん》の外れた青酸加里《シヤンニック・ポッタシウム》であった。
「うんよし、では、その次……」と法水は一々書き止めていったが、続けて挙げられた三つの薬名を聴くと、彼は異様に眼を瞬《またた》き、懐疑的な色を泛《う
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