、異常に隔絶した対照をなしているからであった。それなので、紆余曲折《うよきょくせつ》をたどたどしく辿《たど》って行って、最初からの経過を吟味してみても、だいたい乾板などという感光物質によって、標章形象化される個所《ところ》は勿論のことだが、それに投射し暗喩するような、連字符一つさえ見出されないのである。それがもし、実際に犯罪行動と関係あるものなら、恐らく神業であるかもしれない。こうして、しばらく死んだような沈黙が続いた。その間召使が炉に松薪《まつまき》を投げ入れ、室内が仄《ぽっ》かり暖まってくると、法水は焔の舌を見やりながら、微かに嘆息した。
「ああ、まるで恐竜《ドラゴン》の卵じゃないか」
「だが、いったい何に必要だったのだろう?」と検事は法水の強喩法《カタクレーズ》を平易に述べた。そして、開閉器《スイッチ》を捻《ひね》ると、
「まさか撮影用じゃあるまいが」と熊城は、不意の明るさに眼を瞬《しばたた》きながら、「いや、死霊《おばけ》は事実かもしれん。第一、易介が目撃したそうだが、昨夜神意審問会の最中に、隣室の張出縁で何者かが動いていて、その人影が地上に何か落したと云うそうじゃないか。しか
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