らずに、博士は帷幕の左側を排して、召使が運び入れて置いた人形を寝台の上で見、それから、鍵を下しに扉の方へ向ったのでしょう。ところが、それを追うて、貴方の犯行が始まったのでしたね。まずそれ以前に、敷物の向う端を鋲《びょう》で止め、人形の着衣から護符刀《タリズマン》を抜いておく――そしていよいよ博士が背後を見せると、敷物《カーペット》の端をもたげて、縦にした部分を足台で押して速力を加えたので、敷物《カーペット》には皺《しわ》が作られ、勿論その波はしだいに高さを加えたのです。そして、背後から足台を、博士の膝膕窩《ひかがみ》に衝突させる。と、波が横から潰されて、ほとんど腋下に及ぶほどの高さになってしまう。と同時に、いわゆるイエンドラシック反射が起って、その部分に加えられた衝撃が、上膊筋に伝導して反射運動を起すのですから、当然博士は、無意識裡に両腕を水平に上げる。その両脇から博士を後様《うしろざま》に抱えて、右手に持った護符刀《タリズマン》を心臓の上に軽く突き立て、すぐにその手を離してしまう。と、博士は思わず反射的に短剣を握ろうとするので、間髪の間《あいだ》に二つの手が入れ代って、今度は博士が束
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