んぷ》な残余法で解釈すると、水が人形の体内にある発音装置を無効にした――という結論になる。けれども、事実はけっしてそうじゃないんだ。まして、全体がすこぶる多元的に構成されている――。何も手掛りはない。曖昧朦朧《あいまいもうろう》とした中に薄気味悪い謎がウジャウジャと充満している。それに、死人が埋《うず》もれている地底の世界からも、絶えず紙礫《かみつぶて》のようなものが、ヒューヒューと打衝《ぶつか》って来るんだ。しかし、その中に、四つの要素が含まれていることだけは判るんだ。一つは、黙示図に現われている自然界の薄気味悪い姿で、その次は、未だに知られていない半葉を中心とする、死者の世界なんだ。それから三つ目が、既往の三度にわたる変死事件。そして最後が、ファウストの呪文を軸に発展しようとする、犯人の現実行動なんだよ」と、そこでしばらく言《ことば》を切っていたが、やがて法水の暗い調子に明るい色が差して、「そうだ支倉君、君にこの事件の覚書を作ってもらいたいのだが。だいたいグリーン殺人事件がそうじゃないか。終り頃になってヴァンスが覚書を作ると、さしもの難事件が、それと同時に奇蹟的な解決を遂げてしまっ
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