が犯人だとしたら、殺す数の最大限は、当然四人でなければなるまい。それから、これが殺人方法と関聯していると云うのは、最初に水精《ウンディネ》を提示しているからだよ。よもや君は、人形の足型を作って敷物の下から現われた、あの異様な水の跡を忘れやしまいね」
「だが、犯人が独逸《ドイツ》語を知っている圏内にあるのは、確かだろう。それにこの一句はたいして文献学的《フィロロジック》なものじゃない」と検事が云うのを、
「冗談じゃない。音楽は独逸の美術なり――と云うぜ。この館では、あの伸子という女さえ、竪琴《ハープ》を弾くそうなんだ」と法水は、さも驚いたような表情をして、「それに、不可解きわまる性別の転換もあるのだから、結局言語学の蔵書以外には、あの呪文を裁断するものはないと思うのだよ」
熊城は組んだ腕をダラリと解いて、彼に似げない嘆声を発した。
「ああ、何から何まで嘲笑的じゃないか」
「そうだ、いかにも犯人は僕等の想像を超絶している。まさにツァラツストラ的な超人なんだ。この不思議な事件を、従来《これまで》のようなヒルベルト以前の論理学で説けるものじゃない。その一例があの水の跡なんだが、それを陳腐《ち
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