放電後の、真空といった空虚な感じで、再び黴《かび》臭い沈黙が漂いはじめ、樹林で啼《な》く鴉《からす》の声や、氷柱《つらら》が落ちる微かな音までも、聴き取れるほどの静けさだった。やがて、検事は頸《くび》の根を叩きながら、
「久我鎮子は実象のみを追い、君は抽象の世界に溺れている。だがしかしだ。前者は自然の理法を否定せんとし、後者はそれを法則的に、経験科学の範疇《カテゴリー》で律しようとしている――。法水君、この結論には、いったいどういう論法が必要なんだね。僕は鬼神学《デモノロジイ》だろうと思うんだが……」
「ところが支倉君、それが僕の夢想の華《はな》さ――あの黙示図に続いていて、未だ誰一人として見たことのない半葉がある――それなんだよ」と夢見るような言葉を、法水はほとんど無感動のうちに云った。「その内容が恐らく算哲の焚書を始めとして、この事件のあらゆる疑問に通じているだろうと思うのだ」
「なに、易介が見たという人影にもか」検事は驚いて叫んだ。
と熊城も真剣に頷《うなず》いて、「ウン、あの女はけっして、嘘は吐かんよ。ただし問題は、その真相をどの程度の真実で、易介が伝えたかにあるんだ。だが、
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