チたが、その驚きはすぐに回復された。
「いや、それはたぶん、オリガさんだけの異例でしょうが」
「しかし、いったん不幸な暗合が現われたからには、それをあくまで追及せねばなりません。のみならず、一方その事実と対照するものに、一族の特異体質を暗示している屍様図があるのです。また、それを、四人の方が幼少の折、日本に連れて来られたという事実に関聯させるとなると、それからは明らさまに、算哲の異常な意図が透かし見えてくるのですよ」と法水は、そこでちょっと言葉を截《た》ち切ったが、一つ大きな呼吸をすると云った。「ところがレヴェズさん、ここに僕自身ですらが、事によったら自分の頭の調子が狂っているのではないかと、思われるような事実があるのです。と云うのは、これまで妄覚にすぎなかった算哲生存説に、ほぼ確実な推定がついたことなんですよ」
「アッ、なんと云われる!」と瞬間レヴェズの全身から、いっせいに感覚が失せてしまった。その衝撃の強さは、瞼筋までも強直させたほどで、レヴェズは、なにやら訳の判らぬことを、唖《おし》のように喚《わめ》きはじめた。そうした後に、彼は何度となく問い直して、ようやく法水の説明で納得がゆくと、全身が熱病患者のように慄《ふる》えはじめた。そして、かつて何人にも見られなかったほどの、恐怖と苦悩の色に包まれてしまったのである。そのうちやがて、
「ああ、やはりそうだったのか。|動き始めれば決して止めようとはしまい《オグニ・モート・アテンデ・アル・スオ・マンテニメント》」と低い唸《うな》るような声で呟いたが、ふと何に思い当ったものか、レヴェズの眼が爛々《らんらん》と輝き出して「不思議だ――なんという驚いた暗合だろう。ああ算哲の生存――。たしか、この事件の初夜には、地下の墓※[#「穴かんむり/石」、349−1]《ぼこう》から立ち上って来たに相違ない――。それが法水さん、まだ現われていない|地精よ、いそしめ《コボルト・ジッヒ・ミューエン》――に、つまり、あの五芒星呪文の四番目に当るのではないでしょうかな。なるほど、儂《わし》等の眼には見えなかったでしょう。けれども、あの札は既《とう》に水精《ウンディネ》以前――つまり、この恐怖悲劇では、知らぬ間に序幕へ現われてしまったのですよ」と顔一面に絶望したような、笑いともつかぬものが転げ廻るのだった。その興味あるレヴェズの解釈には、法水も率直
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