噛みとり、それを自分の巣へ運んで行く。そしてそれを子供達に与えると、直ぐまた蛇の肉のところへ帰ってくる。
さて、それから僕の秘訣公開ということになるのだが、親蜂を見つけることが先決問題だから諸君大いに油断は禁物ですぞ。
話が分かったら、繰り出すことにしよう。
三
指導者斜酣が目星をつけたところは、大泉から十町ばかり北へ離れた丘の上の楢林である。そこは、何とか女学院の新築敷地と大きな門に標札が立っていたが、コンクリートの塀で固めた敷地の中は近く新築に着手する風もなく楢林と枯芒で満ちている。しかも数千坪というほど広い。
私らはひらりと高い塀を乗り越えた。斜酣の指図に従い、思い思いに親蜂を捜す段となったのである。楢の皮に樹膠が出ていて、そこでブーンという羽音を聞いたから忍びよって見ると、それは蜜蜂に似た虻であった。
いたいた、という声を耳にしたので走っていって見ると論愚が、栗の木で一匹の蜂を蛇の肉にとまらせている。蜂はまさしく、ラグビー模様のシャツを着ている。斜酣は、これを正銘の地蜂なりと鑑定したのである。
五人は、一心に蜂の行動を凝視した。地蜂の親は僅かの時間で、
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