越後の闘牛
佐藤垢石
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)偶々《たまたま》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)観察|斟酌《しんしゃく》して
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+堂」、第4水準2−13−41]
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一
越後と上州の国境をなす谷川岳と茂倉岳を結ぶ背面の渓谷に源を発し、八海山と越後駒ヶ岳の裾を北流して新潟県北魚沼郡川口村で信濃川に合する魚野川の川鮎は、近年にわかに都会人の食趣に、その美旨の味品が注目されるようになった。
私は、やはり今年も上旬から、北魚沼郡小出町の地先を流れる魚野川の清冽を慕って、炎暑下の鮎の友釣りに、健康の増進を志していったのであったが、偶々《たまたま》長岡の友人若月文雄氏がわが旅宿へ訪ねてきて、いまは日本唯一となった古志郡竹沢村の、闘牛を見物に行こうではないかと、誘うのである。
越後の闘牛について若月氏の説くところをきくと、これはいつの世にはじまったのであるか詳しい歴史は分から
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