たのだ。
しかし、これを要するに今回狸肉がおいしくたべられたと言ふものは、一流の料理人の手にかゝり、調味のあんばいよろしきを得たからであらうけれど、これを素人料理にしたら結局銀狐の肉と同じやうに、手がつけられぬ珍|饌《せん》となつて、味聖に幻滅を感ぜしめるのではあるまいか。
つひにその夜、狸は大衆的の代用食には適せぬと折紙がつけられた。たうとう、狸公はバスに乗りそこなつた。だがしかし、野狸の方の食糧難だけは、うまく解決してやりたい。
底本:「日本の名随筆59 菜」作品社
1987(昭和62)年9月25日第1刷発行
1997(平成9)年5月20日第8刷発行
底本の親本:「たぬき汁」墨水書房
1941(昭和16)年9月発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※新仮名によると思われるルビの拗音、促音は、小書きしました。
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2006年11月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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