たらしく、二人で五経を論じたところ、客はその奥義を尽くしている。
これに対して、董はちょっと首をひねったのだが、我輩は今の時代の名家とは、遍《あまね》く交遊して知らぬ人とてない。しかれども、この客のような博学の人士と、つき合ったことがない。
ことによると、この客めは変化妖怪の類かもしれぬと思って、董はためしに、
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巣居却風穴處知雨
郷非狐狸即是老衆
[#ここで字下げ終わり]
と、客を一喝したところ、客は俄に顔色を変え、形が崩れると見る間に、忽ち老狸と化して窓外へ走り去ったという。
底本:「『たぬき汁』以後」つり人ノベルズ、つり人社
1993(平成5)年8月20日第1刷発行
※<>で示された編集部注は除きました。
入力:門田裕志
校正:松永正敏
2006年12月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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