のは、エリスとのことでしょう。前にもいったように、北海道で発掘した人骨を詰めた荷物がつぎつぎと著きますので、それらは決して人任せにはせられません。どんな破片でも大切なのですから。但しそれで忙しいのは楽しみらしいのですが、今度のことは、私としては、兄のためというばかりでなく、父母のためにも、いいかえれば家の名誉のためにも尽力してもらいたいと思うのですから、主人の日々の食事にも気を附け、そろそろ寒くなるにつけて、夜は暖かにしてなどと気を配ります。もともと主人は洋行中から名代の病人だったので、ただ養生《ようじょう》一つで持ちこたえていたのでした。私が小金井へ来ました時、「よく評判の病人のところへよこしたなあ」と笑ったくらいです。今度のことは、すらすら運ぶ用事とは違いますから、主人も千住へ行くと、夜更けに車で送ってもらうのです。用談も手間取りますが、そうした中でも未開な北海道の旅行中に幾度も落馬したこと、アイヌ小屋で蚤袋《のみぶくろ》という大きな袋に這入《はい》って寝て睡りかねたこと、前日乗った馬が綱を切って逃げたために、土人と共に遠路をとぼとぼ歩いたことなどを話して、心配中の人々を暫時《ざん
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