ろう。随分どうかと思われるようなことをいう人もあるのだから。自分の考も少し混ぜて話すとしよう」といいました。
やがてその日が来ました。何んだかそわそわして落附けませんかった父は、夕刻機嫌よくお帰りになって、「よかったよ。なかなか評判がよくて、己は面目を施したよ」とのことでした。
次の土曜日には、父は朝から、「今日は林に好物を御馳走《ごちそう》してやろう」といって、兄の帰りを待っていられます。私たちはお相伴《しょうばん》が出来るので大喜びです。
「この間はありがたかった。お蔭《かげ》で工合がよくて、会長から、森さんあなたがあんなにお話が上手だとは思いませんかった、またどうか話して下さい、といわれたよ。」
父のそうした話を聞いて、「それはお父様のお話し方がよかったのでしょう。あんなことでよければ、いつでも間に合わせます。お話になりそうなことは気を附けて置きましょう」と兄は申しました。
その日は家内中晴やかな気分で、御馳走をいただぎました。
それからいつでしたか父が、母に向って、「やっぱり林は普通の子ではないねえ。己たちの子としては出来過ぎている。どうか気を附けて煩《わずら》わぬよ
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