の男女が働いています。これは貸座敷ばかりへ食物を入れるので、ここらでは台屋《だいや》といいました。食物は足附きの大きな台に幾つでも並べて、被《おお》いなどはしないで、それを男が頭の上に乗せ、柄の長い提灯で足許《あしもと》を照しながら、さっさと歩きます。古い絵などにあるのと全く同じで、珍しく思いました。その食物を台の物というのです。
 薬師様が近くなると、ぞろぞろと人が続いて、あたりにはカンテラの油煙《ゆえん》が立昇ります。雨も降らないのに、恐ろしく大きな傘を拡げて、その下で飴屋《あめや》さんが向鉢巻《むこうはちまき》で、大声でいい立てながら売っています。「飴の中から金太《きんた》さんが飛んで出る。さあ買ったり買ったり。」
 白い飴の棒を刃物でとんとんと切りますと、おどけた顔が切口に出るのを面白く見ていました。
 傍に金魚屋がいます。大きな小判形の桶《おけ》を幾つか並べた中に、金魚が沢山泳いでいます。中でも丸々と太って、尾が体の倍ぐらいもあるのはリュウキンというのでしょう。品があって見事ですが、そんなのは幾つもいません。「立派だねえ」と、見とれていました。小ぶりなのが一杯いるのも綺麗です
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