往来からよく見えます。どれも大きな髷《まげ》に結って、綺麗な簪《かんざし》をさし、緋の長襦袢《ながじゅばん》に広くない帯、緋繻子の広い衿《えり》を附けた掛《かけ》という姿です。すっかり順に並びますと、その前へ蒔絵《まきえ》の煙草盆と長い煙管《キセル》とを置きます。これを張見世《はりみせ》というのでしょう。右の出入口は広い板敷で、上には大きなランプが幾つか吊してあり、若い男が角の大きな下足札《げそくふだ》に長い紐《ひも》を附けたのを二、三十本も右の手に持って、頻りに板敷を叩《たた》きます。終りに板の間の上をうねうねと揺すぶって、鼠鳴《ねずみなき》をするのです。それから外へ出て、格子を叩いています。入口には三所ほどに、高く盛塩《もりじお》がしてありました。縁起を祝うのだそうです。内田病院の前まで行きましたが、あっちでもこっちでも下足札の音がします。遅くなるからと引返して、左の道を急ぎました。
 それから程なく、往来から家の中の見えるのはよくないからと、格子の前に白い日覆《ひおおい》のような物を掛けるようになりました。
 それらの二階建の家に混って、大きな仕出屋《しだしや》がありました。大勢
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