いう札が掛けてあります。格子の前に、鳩のよりは少し大きい位の皿に餌が入れてありますが、遣る人はないようです。それを可哀そうに思いました。
 反対側に写真師の江崎があります。随分古くからそこにいるのだそうで、家内|揃《そろ》ってよく写しに行きました。そこらあたりには楊枝店《ようじみせ》が並んでいます。
 見世物小屋《みせものごや》のある方へ行って、招牌《かんばん》を見て歩きます。竹の梯子《はしご》に抜身《ぬきみ》の刀を幾段も横に渡したのに、綺麗な娘の上るのや、水芸《みずげい》でしょう、上下《かみしも》を著《き》た人が、拍子木でそこらを打つと、どこからでも水の高く上るのがあります。犬や猿の芸をするのもあったようです。尤《もっと》も一々這入ったのではありません。中の見物席は、ただ地面に筵が敷いてあるだけとか聞きました。その裏手は一面の田圃でした。新|花屋敷《はなやしき》が出来て、いろいろの動物が来たり、菊人形が呼び物になったのは、ずっと後のことです。一廻りしますと仲見世へ出ます。仁王門《におうもん》から広小路《ひろこうじ》まで、小さな店がぎっしりと並んでいます。大方|玩具屋《おもちゃや》です
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