格子の奥なのですから、ただ金色に輝いているだけで、はっきりとは分りません。広い畳敷の上に坐って、頭を垂れて念じ入っている人たちがあります。一間丸位の大太鼓があって、坊さんが附いているのはどんな時に打つのでしょう。格子の前の長さ一丈余もある賽銭箱《さいせんばこ》へ、絶間《たえま》もなくばらばら落ちるお賽銭は雨の降るようです。赤い大提灯《おおぢょうちん》の差渡し六、七尺、丈は一丈余もあるのが下っています。「魚がし」と書いてあったようでした。梁《はり》に掛けてある額には、頼政《よりまさ》の鵺退治《ぬえたいじ》だとか、一つ家の鬼女だとかがあります。立派な馬の額にも、定めし由緒があるのでしょう。濡《ぬ》らして打ちつけたらしい紙礫《かみつぶて》が、額の面一面に附いていました。太い円柱に弁慶の指の跡というのがあって、そこへ指を当てて見る人もありました。安産のお守《まもり》を受けたり、御神籤《おみくじ》を引いている人もあります。御賓頭盧《おびんずる》の前で、老人がその肩や膝《ひざ》を撫《な》でては自分のその処をさすることを繰返しています。その木像は頭の形はもとより、目も鼻も口も分らず、ただすべすべして
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