聴の声が起る、やがて満堂は水をうったごとくに静まり返る、彼は得意そうに説明を続ける。
「さて諸君、急速力に依って出来た外輪は、二個三個遂に八個となり、しかも相ともに回転しつつあった、しかるにこの小瓦斯塊は、分子間相互の引力に使《よ》って、凝集して楕円塊となり、さらに収縮してその密度を増すのである、彼らの楕円塊がその熱度を空間に放出して、外殻が出来たものこそ、我地球のごとき有様を呈する、しかるに中央の本体たる大瓦斯塊はどうであるか、勿論これとても早晩その運命を地球と同じくするのである。
 すなわち今でこそなお烈々たる勢いを放ちて、盛に燃焼しているが、早晩全く火気を失う時には、吾々の世界の滅亡する時だ、否早晩ではない、吾らは目前にこれを控えているではないか、新世界建設同盟会たるや、全くこの急を免れんとするために起ったのである」
 かく叫びながら彼はその座に復したが、代って起《た》った一人は、さらに世界滅亡時の悲観を詳説して曰《いわ》く、
「諸君恐怖時代は目前に来たのである、我系統の主公たる、かの天の太陽は、近き将来に於て滅尽しようとするのである、否我地球は、さらにそれよりも近く、全く破滅に
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